ガンダムといえば、白ベースに赤、青、黄色のいわゆるトリコロールカラーが代名詞になっていますね。これは最新のガンダムにも採用されるカラーリングで、もはやガンダムを表す代名詞的なカラーリングともいえます。ですが原作者で監督の富野監督は、ガンダムを真っ白にしたかったそう。はたしてその真意は?

1970年代のロボットアニメは基本的に玩具を売るためのコマーシャルフィルムでした。基本的に子供向けであり、言い方は悪いのですがスポンサーにとっては、物語は二の次だったといえなくもありません。ですからロボットが目立つ、派手ということは、おもちゃ屋さんで目立つ意味でもとても重要で、それは色にも表れていました。赤、青、黄色の人気色を使うのは、ガンダムに限らず、当時のロボットアニメのセオリーだったのです。
白一色のガンダムは、当時のロボットアニメへの反旗だった
『機動戦士ガンダム』は、それまでの子供向けの勧善懲悪的なロボットアニメと違い、様々な新機軸が盛り込まれました。あまりにも尖りすぎて、採用されなかったアイデアもあるのですが、その中の1つが、「ガンダムのカラーリングが真っ白」というものです。
当時、ロボットアニメの主役ロボットといえば、赤青黄色のトリコロールを採用した子供に受けやすい色を使うのが定番でした。ですが『ガンダム』はそれを良しとせず、あえて白一色にしようとしたんです。ところがこれはスポンサーであるクローバーの大反対を受けました。たしかにこれまでの定番カラーを崩すことは、商品のアピール力の低下につながってしまうと考えるのが自然でしょう。特におもちゃ売り場に並んだとき、他のロボットとの差は明らかですからね。
トリコロール案を受け入れたガンダムですが、胴体部分を中心に青赤機を配色したもので、白が目立つものとなりました。劇中でも「白いモビルスーツ」と言われているように、ささやかな反抗だったのかもしれません。
おもちゃの色が銀色なのは、クローバーの抵抗だった?
ところがクローバーは、ガンダムの白い部分の多さに納得がいかなかったようで、自社の製品には取り入れなかったようです。クローバーのDX合体セットの白い部分が銀だったのは長年不思議でしたが、これは逆にクローバーのささやかな抵抗だったのかもしれません。

ガンダムF91も最初は真っ白にしたかった?
実は『機動戦士ガンダムF91』に登場するF91も最初は白にする案がありました。カラーリング検討段階のもので、つま先が赤か青のバージョンが存在しています。これはRX-78のリベンジ、原点回帰の意味があったのかもしれません。結局、この白いF91もお蔵入りとなりましたが、近年になって商品化やコミック化が実現しました。

ガンダムの世界では、やや場違いな感じがするトリコロールカラー。白だったら、もっと世界観にマッチしていたかもしれません。いつか真っ白いガンダムが実現するのも期待したいところです。
![]() |
価格:1,200円 |